設備の近代化は、経営経費の見直しや経営の体質改善への大きなポイントでありまり、その振興は着実に実施されています。大型機械による牧草収穫・フリーストールパーラー方式による集中管理は、酪農業の乳量・乳質の向上とコストの削減にも大きく寄与しています。
肥育頭数が町村単位で全国一の水準となる肉牛は、町内の肉牛飼育施設の有効利用により計画的に出荷されています。
畜産堆肥は周辺畑作農家に利用され、地力増進のため有効活用されています。また、畜産環境に配慮した屋根付き堆肥舎などの設置が進められています。
食肉飼育施設(肉牛肥育センター)
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食肉肥育施設(肉牛肥育センター)では、酪農家で搾乳している乳牛(ホルスタイン)から生まれる《雄(オス)》仔牛を肥育し、肉牛として生産しています。
当農協の肉牛事業は、1970(昭和45)年から本格的に開始され、19ヶ所の食肉肥育施設(肉牛肥育センター)などで44,000頭を飼養し、年間21,000頭を生産・出荷しています。
肉牛生産は「しほろ牛飼養管理マニュアル」に基づいて実施し、JA、系統、肉牛振興会(生産者組織)、町、普及センター及び関係機関と一体となり飼養管理技術の向上に努め、品質と生産量を安定的に、安全・安心で、安価に供給可能な産地となる様、今後も努力して参ります。
士幌町の自然の恵み(新鮮な空気と水)いっぱいの中で育てたしほろ牛(ホルスタイン牛)は、脂肪が少なく、ジューシーで柔らかい赤身が自慢です。
熟成堆肥施設
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町内の食肉肥育施設(肉牛肥育センター)に隣接して、平成元~4年に「熟成堆肥施設」を町内4ヶ所建設し、年間で平均17,000トンの熟成堆肥を畑作農家に向けて供給しています。
酪農家から雄仔牛供給を受けて肉牛肥育センターで肥育し、肉牛肥育センターで産出される堆肥は熟成堆肥施設で熟成され畑作農家に供給、畑作農家からは小麦カラ(麦稈)の供給を酪農家が受ける資源循環サイクルシステムの中で、環境保全を図り、地域の共生を目指しております。
畜産センター
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士幌町は搾乳牛(ホルスタイン)18,500頭、肉牛44,000頭(ホルスタイン種31,000頭、交雑種13,000頭)、和牛780頭を飼養する一大畜産産地です。この畜産農家を色々な角度からサポートする組織(診療・授精・集乳所・乳検・ヘルパー組合)が一体となって畜産センター内のワンフロアで業務を進めています。
士幌の特徴は、獣医師・授精師スタッフが農協の職員として働いていることで、現在は獣医師12名、授精師4名が、毎日、組合員が大切に飼養する牛を診療・人工授精しています。 また、集乳所では、より良質な生乳生産に向けて農協自ら生乳検査を行い、乳質や飼養管理の改善指導、搾乳機器の点検等を行っています。
また、士幌町の酪農家は全戸「乳牛検定組合」に加入しており、毎月、全頭検定を実施し、検定データは集乳所、診療、授精などのデータとリンクし、独自の「損防事業」として組合員巡回指導に役立てており、全国でも例を見ない畜産指導事業を展開しています。
酪農団地(リース施設)
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生産性の高い安定した自立経営農家を育成するため、中音更地区に新規草地開発等の基盤整備を行い、昭和48~53年までに10戸の酪農団地(リース施設)を建設しました。 酪農経営には牛舎・搾乳施設・農地(草地)・農作業機械などが必要で、多大な初期投資金額となります。農協がそれらを建設して20年間の長期リースをする事により新規就農も可能となる他、希望される方は酪農団地へ移転し、跡地は近隣酪農家や畑作農家の規模拡大に資するなど、全国的にも例のない取り組みです。
酪農団地リース農場の仕組みは町内に19ヶ所ある肉牛肥育センターでも導入され、酪農、肉牛共に自立経営の大きな礎となっています。
ヌプカウシ育成牛預託施設
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大雪山系の麓に位置する新田牧場に隣接する士幌高原に「ヌプカウシ育成牛預託施設」はあります。町内酪農家で生まれたホルスタインの雌仔牛を預かり、自然いっぱいの環境の中で放牧するなど健康でしっかりとした身体を作った後、人工授精による種付をして妊娠後に酪農家にお戻しします。酪農家の後継牛育成の手間や飼料、育成舎が低減できるなどの役割を持ち、年間400頭程度の預託育成を進めています。
農協直営家畜管理施設(高原牧場)
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新田牧場・ヌプカウシ牧場に隣接し、優良和牛の素牛供給を目的に建設された施設で、過去にはアンガス種やヘレフォード種を繁殖しておりましたが、現在では黒毛和種の繁殖・哺育・育成・肥育を一貫して行い、優良血統試験や素牛供給を行っています。
その他、府県の搾乳牛(ホルスタイン)の預託育成や交雑種(F1)によるET(受精卵)移植などの試験を行っています。
食肉処理施設(士幌町振興公社)
常に消費者ニーズに適う「しほろ牛」生産を目指し、1987(昭和62)年に食肉処理施設「士幌町振興公社」が建設されました。最新の施設(懸垂脱骨)で処理され、1頭毎、部位毎にバーコードによるトレーサビリティシステムで管理されており、近年ではダンボールから通いコンテナを導入するなど、環境にも配慮した取り組みも進めています。
品質にこだわり産地加工された「しほろ牛」は、食肉処理施設で年間約11,000頭が処理され、関東・関西を中心に出荷されています。